<子どもの防犯 後編>危険を察知する目とは?専門家に教わる今日からできる防犯アクション

  • URLをコピーしました!

監修者:NPO法人体験型安全教育支援機構 代表理事 清永 奈穂

前回は、「知らない人にはついていかない」という言葉だけでは実は子どもを守り切れないことを、KADOKAWA『10歳までに知っておきたい まんがでわかる! 子ども防犯性教育』を監修された、NPO法人体験型安全教育支援機構 代表理事の清永 奈穂先生に伺いました。

本記事(後編)では、具体的に子どもたちが身を守る方法、そして子どもたちを守るために大人が日常的にどう関わるべきか、について解説します。

目次

景色から「あぶない場所を読み解く目」を育てよう

清永先生によると、防犯において最も大切なことは、その景色からあぶない場所やあやしい行動を読み解く目を養うこと、だそうです。

そのための合言葉として、先生は「ひまわり」と「はちみつじまん」を教えてくれました。

景色で見抜くあぶない場所「ひまわり」

あぶない場所には共通する特徴があります。それを覚えやすくしたのが「ひまわり」です。

  • …ひとりだけになるところ
  • …まわりから見えないところ
  • …わかれ道・わき道・うら道 
  • …利用されていない家・公園 

親子で通学路を歩きながら、「ここは『ま(まわりから見えにくい)』だね」とクイズのように探してみるのがおすすめです。

相手の動きであやしい人を見抜く「はちみつじまん」

場所だけでなく、近づいてくる人の不自然な動きに気づくための合言葉が「はちみつじまん」です。

  • :はなしかけてくる
  • :ちかづいてくる
  • :みつめてくる
  • :ついてくる
  • じま:じっとまっている
  • :ま(間)をとって行動する

これらがあてはまる状況に気づいたら、「おや?」と警戒のスイッチを入れることが大切です。

関連記事:

防犯の合言葉「ひまわり」「はちみつじまん」については、こちらの記事に詳しく説明しています。

子どもが危険を察知する力を育てる!「ひまわり」で危険な場所を知り、「はちみつじまん」であやしい行動を見抜こう

いざという時に身を守るアクション「ハサミとカミはお友だち」

あぶない目にあったとき、どう行動すればいいのか。清永先生は、具体的なアクションを「ハサミとカミはお友だち」という合言葉で教えてくれました。

  • は(しる):20メートルほどダッシュで走ろう!
  • さ(けぶ):「助けて!」「やめて!」とはっきり大きな声でさけぶ。防犯ブザーを鳴らすのもあり。
  • み(る):下を向かずに前をしっかり見て、まわりの人や場所を確認しよう。
  • と(びこむ):近くのお店や家にとびこもう!「ただいま!」と言って自分の家のフリをして入るのもよい方法。
  • かみ(つく):うでをふり回したり、かみついたりして、にげるすきを作ろう!
  • は(っきり、きっぱりことわる):さそわれても「いやです」「ダメです」「行きません」という気持ちをきっぱり伝えよう!
  • お友だち:あぶない目にあっているお友だちがいたら、大人をよんで助けよう!

もしもの時に命を守る!具体的な防犯対策

「あぶない!」と感じたときに、お子さんがその場でとるべき具体的な対策を整理しました。

①「いやです、だめです、いきません」と、はっきり拒否する

じっと見つめられる・不自然な声かけなど、少しでも怖いと感じることがあったら、勇気を出して声をあげることが最大の守りになります。 

実は、犯人はターゲットから強い拒否をされたり、大きな声を出されたりすると、約9割という高い確率で犯行をあきらめるというデータがあるそうです。はっきりと意思表示をすることは、強力な抑止力になるのです。

いざというときに、咄嗟に声を出すのはなかなか難しいもの。日頃から「いやです」「だめです」「いきません」と言う練習を、親子でしておくのも良いでしょう。 

また、やはり言葉に出して拒否するのが難しい時は、声を出さなくてもジェスチャーで示したり、顔をそらしてサッと離れるだけでも「嫌だ」という意思表示になります。様々な断り方を練習しておきましょう。

②「2メートル以上」あけて、ランドセルは捨てて逃げる

声をかけられた際、言葉と同時におこなってほしいのが、相手との間に「2メートル以上の距離」をあけることです。これは大人が急に手を伸ばしてもとどかない境界線。

相手が1歩近づいたら、自分は1歩下がる。このバリアを保つ練習をしておきましょう。

また、逃げるときは迷わずランドセルを脱ぎ捨てます。ランドセルはうしろからつかまれやすく、重いままでは速く走れません。「物は買い直せるけれど、命はひとつ」。ランドセルを相手との間に投げ捨てて「盾」にし、そのすきに身軽になって逃げることが重要です。

その際、20m逃げ切ることで犯人が諦める確率もあがります。

※クリックして拡大

③ 防犯ブザーは日ごろから使い方や電池をチェック

危険な目にあったとき、とっさに声が出ない、というケースも少なくありません。

防犯ブザーは、本人が声を出せなくても大きな音で周囲に危険を知らせてくれる有効な手段です。

いざというとき、防犯ブザーを上手く鳴らせない、電池が切れていて鳴らないということにならないよう、定期的に子どもと鳴らし方や電池残量をチェックしましょう。

④体を使った逃げのテクニック

ロケットダッシュ:うしろから抱きつかれたりした時、両肘をパッと上げて身を沈め、相手の腕の間からすり抜けます。そのままロケットのように全力で走り出す脱出技です。

※クリックして拡大

ジタバタ:地面にたおされたり、持ち上げられそうになった時は、お尻を地面につけたまま、手と足を激しく動かします。特に、足は足の裏を相手のすねにめがけてキックするようにすると、相手に当たったときに一瞬のスキができて逃げることができます。清永先生によると、重いものが不規則に動き回ると、大人の力でも支え続けるのはとてもむずかしくなります。相手がひるんだ瞬間に、逃げるチャンスが生まれるのです。

地域の「あいさつ」が、子どもにとって安全な空間に変える

清永先生は、家庭だけで防犯を頑張りすぎなくてもよいと話します。先生によると、犯人が最も嫌がるのは「自分の存在に気づかれ、注目されること」です。

そこで先生が提案するのが、「瞬間ボランティア」という考え方です。

これは特別なパトロールではなく、ゴミ出しのついでに周囲を見渡したり、買い物帰りに子どもたちに「こんにちは」と声をかけたりする、ほんの数秒の見守りのことです。こうした行動が、犯人にとって「だれかに見られている」というプレッシャーを感じさせるのです。

日常の小さな積み重ねが、その場所を「安全な空間」へと変えていくのです。

まとめ:子どもが自分で身を守るための防犯スキルとは

清永先生のお話を伺って、防犯とはただ「あぶない場所・人から遠ざけること」だけではないのだと気づかされました。大切なのは、あぶない場所やあやしい行動を見分ける力と、自分の身を守る方法を身につけ、子どもたちが安心して生活できるようにすることです。

「禁止」することばかりに目を向けるのではなく、自分で自分の身を守るための「防犯スキル」を親子で育んでいく。それは、子どもたちが成長していくうえで欠かせない、大切な自立のステップなのかもしれません。

この記事を監修した人

清永 奈穂

NPO法人体験型安全教育支援機構代表・理事株式会社ステップ総合研究所所長。

教育学博士(日本女子大学)。犯罪、いじめ、災害などから命を守るための研究に取り組み、各地の自治体や幼稚園、小学校などで体験型の安全教育を行う。

著書/監修作に『10歳までに知っておきたい まんがでわかる! 子ども防犯性教育』『親子で学ぶ「そのとき」どうする? おおじしんから いのちをまもるえほん』(ともに株式会社KADOKAWA)、『あぶないときはいやです、だめです、いきません こどもの身をまもるための本』(株式会社 岩崎書店)などがある。

目次